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人が知らないのでは、何の用にもならない。」というものであった。その会議において、私は初めて日本型のオンブズマンとして行政相談制度、行政相談委員の在り方について塚本先生から話を伺った。また、そのシステムについては、全国行政相談委員連合協議会会長である鎌田先生から非常に詳細な説明をいただいた。94年のレイク・タウポにおける会議であった。

これは、われわれの国における治安判事の役割にも似たものかというふうに私は印象を受けた。治安判事の制度は、イギリスで800年くらい前から存在している歴史を持つものであるが、私は、治安判事の役割というのがやはりオンブズマンのシステムの中に適合してゆけるものであるというふうに考えたわけである。そして、それがそうあることによって、より望ましい制度が作り上げられるのではないかと考えた。私のいる南オーストラリア州では約7000人の治安判事がいる。多くの治安判事はフォーマルなトレーニングを受けている。それによって、この制度に対する研鑚を積むということが可能になっている。基本的な法律的な事柄をそうしたトレーニングで学ぶのである。

 

それでは、治安判事が一般的にどういう役割を果たすのかということであるが、いくつか羅列してみると、

・法的な文書の署名に対する証人となること。

どういうふうな文書かというと、宣誓供述書、不動産に関する書類、委任状、抵当権に関する文書など。

・薬物や銃火器の廃棄に立ち会うこと。

・抽選を行うこと。

・都市圏から離れた地方の社会において、検死官としての役割を果たすこと。

・薬物関係、麻薬関連の問題の処理のために出荷が行われる港あるいは空港などのターミナルに立会すること。

・巡回判事を務めて刑務所においての判事席につくこと。

・下級裁判所の判事席につくこと。

判事としては、まだ他にもいろいろな機能があるが、このような経験を判事としての期間に積んでこられた方々であって、その多くが今では退職されている方でもある。つまり、こういう人たちは、明らかに代理人となる、あるいはオンブズマンの権限を委任される人になりうる適性を備えた人である。

既にこの制度を私自身で始めていて、私が委員長となって特別委員会も組織した。それは、判事アクセス委託計画(justices access referral system)と呼ばれるものである。今年、私が関連法規の整備をして、こうした委任してオンブズマンとしての仕事をする判事に対しては、民事的な手続きを免除する形で、それが行われるようにという制度の整備もした。今、50人ほどのこうした判事の方々がオンブズマンのために仕事をしている。そして、その50人の方々を一つの起点にして、7000人いる全体のその州のすべての治安判事とのネットワーク化が可能だと思っている。

これらの人々は、それぞれの地域社会において非常にアクセシビリティの高い、すなわち人々が近づきやすいアクセスが常にとれる人たちである。つまり、私はオンブズマンであるが、オンブズマンとしての私のドアは、非常に広く開かれているということで

 

 

 

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